2008年、この10冊(BL漫画編)

こちらも新刊限定で。例によって読んで然るべき作品を全然読んでいないうえ、完全に趣味偏重のランキング(東京漫画社作品が多いのは仕様です!)なので妥当性はないにも等しいけど、とりあえず参考までに。
■ 1位:京山あつき『見えない星』
『聞こえない声』の続編。昨今流行(?)のブサイク受けBLとしても完成度が高いけど、それ以上に青春漫画として素晴らしい。青春のかがやきと不安、その他いろいろなものを見事に描き切っている。エロシーン(素股ですよ奥さん!)を滑稽に描くところが、ちゃんと「分かっている」感じで良い。セックスって見苦しいんですよ。攻めの変態紳士っぷりも素敵でした。これはもう、2008年ぶっちぎりベストといわざるをえない。

見えない星 (ミリオンコミックス Hertz Series 38)

見えない星 (ミリオンコミックス Hertz Series 38)

聞こえない声 HertZシリーズ

聞こえない声 HertZシリーズ

■ 1位:TATSUKI『もしも願いが』
もうひとつのぶっちぎりベスト作品。本当にBLなのかと疑いたくなるほど清純派、ほのぼの路線(一部例外あり)の一冊。羽海野チカ増田こうすけを組み合わせたような独特の絵柄と巧みな心理描写、高い基礎漫画力、物語の豊富なバリエーションが素晴らしい。しみじみと、いい漫画です。コミティアに足しげく通うような漫画好き男子は、皆この漫画を読めばいいと思うよ! マヂおすすめ。
もしも願いが (マーブルコミックス)

もしも願いが (マーブルコミックス)

■ 3位:テラシマ『ポラリスまでの距離』
ポラリスベル』の続編。おじさんの車掌萌えと天文ネタを組み合わせた全く新しいBL漫画。演出に凝るあまりやや読みづらくなっているが、そのぶん時間をかけてじっくり読み解ける良い作品に仕上がっている。これもコミティア系漫画好き男子におすすめ。エロもほとんどないしね。
ポラリスまでの距離 (マーブルコミックス)

ポラリスまでの距離 (マーブルコミックス)

ポラリスベル (マーブルコミックス)

ポラリスベル (マーブルコミックス)

■ 4位:依田沙江美『愛の深さは膝くらい』
男子が持つ普遍的なオトコノコ性とツンデレ性を描かせたら、依田てんてーはかなりのものですよ。攻め(教師)が受け(生徒)に向ける保護者的な視線も、真っ当な感じで好感が持てる。エロがないので読みやすいです。
愛の深さは膝くらい (花音コミックス)

愛の深さは膝くらい (花音コミックス)

■ 5位:ヤマシタトモコ『恋の心に黒い羽』
ヤマシタトモコは昨年一番活躍したBL漫画家の一人ではなかろうか。単行本5冊も出たし。久々にアフタで読み切り描いたし。どの本も良かったけど、作者らしい「捻り」が一番利いていたのはこれ。男女混成の大家族ものや、女性視点の作品等、従来のお約束にとらわれない作風がいいね。
恋の心に黒い羽 (MARBLE COMICS)

恋の心に黒い羽 (MARBLE COMICS)

■ 6位:明治カナ子『生まれ星』
「三村家の息子シリーズ」の最終巻。いろいろあったけど、ラストはさわやかな幕引きで良かった。もともと男性向けのエロ漫画を描いていた人だからか、エロシーンが凄いことに。
生まれ星―三村家の息子シリーズ (ミリオンコミックス  Hertz Series 47)

生まれ星―三村家の息子シリーズ (ミリオンコミックス Hertz Series 47)

三村家の息子 (ミリオンコミックス Hertzシリーズ)

三村家の息子 (ミリオンコミックス Hertzシリーズ)

■ 7位:ヨネダコウ『どうしても触れたくない』
新人とは思えない巧さ。話の展開、感情の掘り下げ、作画、どれを取ってもレベル高し。攻めの人が普通の意味でカッコイイ。上司になって欲しいタイプ。
どうしても触れたくない (ミリオンコミックス CRAFT SERIES 26)

どうしても触れたくない (ミリオンコミックス CRAFT SERIES 26)

■ 8位:草間さかえ『イロメ』
抜群の安定感。
イロメ (1) (ディアプラス・コミックス)

イロメ (1) (ディアプラス・コミックス)

■ 9位たうみまゆ『隅田川心中』
表題作はヤンキーと落語を組み合わせた全く新しいBL漫画。まだまだ荒削りな部分やツッコミどころも多いけど、この作者ならではの個性がある。女性キャラの扱いが巧いのもポイント。
隅田川心中 (マーブルコミックス)

隅田川心中 (マーブルコミックス)

■ 10位:腰乃『隣の』
ラフなタッチの描線と会話のテンポが良い。エロシーンでのちょっと間抜けなやりとりや、攻め×受け的な関係を描きながら、どことなくリバな印象を与えるところ等、登場する男性に「もっともらしさ」がある。
隣りの (MARBLE COMICS)

隣りの (MARBLE COMICS)

ついでなので、10位以下と番外の作品も。
■ 11位:トジツキハジメ『徒然』
同人からの再録メインだけど、トジツキハジメは大好きな作家なのでランキングさせないわけにはいかない。ジャンルを相対化するような視線を持ち込むところに作者のクレバーさがあるわけで。薄口ながらもセンスの良いオタクネタの使い方もポイント。「ツィマッド社」とか「ゼフィランサス」とか、そんな感じ。この人はBL界におけるちょっとした特異点かと。
徒然(つれづれ) (ディアプラスコミックス)

徒然(つれづれ) (ディアプラスコミックス)

■ 11位:トジツキハジメ『千一秒物語』
兄弟ものはあまり好みじゃないし、オチもかなり投げっぱなし感漂うんだけど、女の子キャラが可愛かったのと、トジツキハジメは大好きな作家なので(略)
千一秒物語 (GUSH COMICS)

千一秒物語 (GUSH COMICS)

■ 13位:中村明日美子『同級生』
なんという青春模様! 眩し過ぎて死ねる。
同級生 (EDGE COMIX)

同級生 (EDGE COMIX)

■ 14位:田中鈴木『アイツの大本命』
ブサイク受け可愛いよブサイク受け。可愛いだけじゃなく、キャラの心理描写も巧い。あと、ドS美女が美しかったのも〇。
アイツの大本命 (ビーボーイコミックス)

アイツの大本命 (ビーボーイコミックス)

■ 15位:北別府ニカ『別れる二人の愛の劇場』
登場する男の子達がちとオトメ過ぎて萎えなときもあるけど、やっぱり可愛いものは可愛いノデ。 『すくすく好き好き』も悪くなかった。
別れる2人の愛の劇場。 (マーブルコミックス)

別れる2人の愛の劇場。 (マーブルコミックス)

すくすく好き好き (バーズコミックス リンクスコレクション)

すくすく好き好き (バーズコミックス リンクスコレクション)

■ 番外
・『エディス』
まんだらけ出版から新創刊されたオリジナルBLアンソロ。ラノベ、準ラノベ界隈で活躍している作家さんがちょこちょこ参加(参加予定)しており興味深かったのと、雨隠ギドが良かったノデ。
エディス edith vol.1 summer

エディス edith vol.1 summer

エディス edith vol.2 fall

エディス edith vol.2 fall

・『リーマンカタログ』
リーマン特集のアンソロ。2008年マイ・ベスト・オブ・リーマンBL漫画、北別府ニカ「泣かないで、大久保くん」とTATSUKI「月下に咲く」が収録されているノデ。
リーマンカタログ (MARBLE COMICS カタログシリーズ VOL. 13)

リーマンカタログ (MARBLE COMICS カタログシリーズ VOL. 13)

今年も面白いBL漫画を沢山読めるとイイナ!