A&Bストルガツキー / 深見弾:訳『トロイカ物語』

『月曜日は土曜日に始まる』の続編というか第4話。1968年に発表された、シベリアの地方文芸誌「アンガラ」掲載版と1987年に発表された「スメナー」掲載版の2作を収録。大まかな部分の筋立ては同じなんだけど、舞台と登場人物の設定に一部違いがあったり、エピソードの順番やオチに変更があったりで、微妙に違う作品ぽくもある。個人的にはスメナー版の方が読みやすくて良かったんだけど、よりエッジがきいているのはアンガラ版の方になるのかしらん。
異常現象を次から次へと裁判にかけ、絶対的権限と「大印璽」で合理化(=抹殺)しようとするボンクラ集団〈三人委員会〉(トロイカ)が超こえぇ。人生で絶対に関わり合いになりたくない連中だといい切ることができる。無能の老害に権力を与えてはいけないという話ですね、わかります。官僚主義ダメ絶対! というか、ペレストロイカ以前のソ連で、よくもまぁ、こんないろんな意味であからさまな小説を発表する気になったもんだ。ストルガツキー兄弟の反骨精神はマヂ本物。ガチ過ぎるにも程がある。コミカルな描写も多いんだけど、当時の作者兄弟が置かれた状況を考えると笑うに笑えんことだよなぁ。
あー、あと、警句と逆説と詭弁の申し子こと〈お喋り南京虫〉君が素で鬱陶しいと思った。どうでもいいようなことをベラベラと喋りすぎだろ常考で。そりゃサーシャさんでなくても指で潰したくなるわ。ぷち。

トロイカ物語

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