スティーヴン・ミルハウザー / 柴田元幸:訳『ナイフ投げ師』

なんとなく読んでみたミルハウザーの第三短編集。桜庭センセイの読書日記で紹介されていて興味を持った。ちなみにミルハウザー初体験。
や、なかなか面白いじゃないですか、これ。正直、ピンとこない作品も幾つかあるにはあったけど、「協会の夢」と「パラダイス・パーク」の2編だけで充分もとが取れたから、個人的には無問題。自分は基本貧乏性なので、「協会の夢」「パラダイス・パーク」のように、過剰にネタを盛り込んで、パンパンに密度をあげた短編が大好きなんですよ。あとがきの受け売りになってしまうけど、ある対象を突き詰めて考え過ぎるあまり、その対象が自壊せざるを得ないところまで上り詰めてしまうというノリも凄くいい。まぁ、これは表題作や「新自動人形劇場」にもいえることだけど。妻を娶った友人を訪ねてみたら、なんとその妻は蛙だったという微妙に人を食った設定が面白い「ある訪問」も素敵。だいぶ違うが、何故かこれを思い出したりもした。パートナーが蛙繋がり。
とりあえず、他のミルハウザー作品も読んでみるよ!

ナイフ投げ師

ナイフ投げ師